がんがんもんもん

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話したいことは山ほどあるけど

ここがすごいよワールドトリガー17巻の話

昔は今なら4巻だけだから!とか8巻まで!今が買い時!とか言ってたんですが、さすがに17巻まで来ちゃうと一気読みは勧めづらい。でも、だからこそ、声を大にして言いたい。
ワールドトリガーを途中まで読んでいた、まだ読んでいない人!17巻まで読んでください!!!!!

17巻にはワールドトリガーの魅力がすべて詰まっていると言っても過言ではありません。ほんっっっっとに面白いんだ。

ワールドトリガーはジャンプにしては珍しくスロースターターな漫画です。

公式からも遅効性SFなんて呼ばれています。私も例にもれず、面白さに気付いたのは単行本で言えば3、4巻になるあたりでした。ワートリ民のよく言うところの、「とりあえず4巻まで読んでくれ」です。それで合わないなら致し方ない。

でもちょっと待って、8巻まで読んだらまた話は変わるかも…いや10巻まで読めば…いやいや12巻まで…14巻もいいぞ、というこのずるずるした流れに「17巻を読めば」が加わりました。

 

私はよく、他人に漫画を勧めるのには序盤のキラーエピソードが重要だ、という話をしています。簡単に言えばガッツリ読者を掴んで世界観に引き込むような話ですね。

ハイキューの変態速攻を完成させた回。(追記:変人!!!!変人速攻でした予測変換ミスですすみません!!!!)
頂から見る景色。

ソーマの四宮に戦いを挑んだ回。
瞳の中に映る田所ちゃん。

ヒロアカの窮地からの「私が来た」。
(いやヒロアカはキラーエピソードを何回もやってる恐ろしい漫画なんですが)

こうして、パッと書き出せるようなエピソードです。この漫画の面白いところはこういうところですっていうのが一話で掴めて、見開きの大ゴマが頭の中に残るような回。私が漫画を勧める時には、そういう回が収録された巻までを貸し出します。

ワートリにはそれがなかった。
いや、あるんですけど、それは二週目三周目の人が見たときに驚くような回であって(たまこま結成回とかね)、決して初見の人をその一話で黙らせるような回ではありませんでした。流れで面白さを感じ取ってもらうしかなく、だからこそ「ここまで読んで」の区切りがいまいちうまくできなかった。

 

でもですね。来ちゃったんですよ。
キラーエピソード。
それまでの流れとかなんにも知らなくてもぞわっとしてしまうような回。
もちろん流れを知っていれば、その分だけぞくっとしてしまうような回。

144話「香取葉子」

この回で描かれるのは香取葉子と染井華という、ふたりの少女の過去のエピソードです。
ほがらかな家庭で育ったわがまま娘の香取葉子と、
受験受験勉強勉強で厳しく育てられている染井華の、
ふたりの少女の、閉じかけた世界の話です。
一歩間違えばセカイ系作品の第一話ともとれる。
二人が主人公で、これから二人だけの物語が始まる。
そんな話です。

でも、華ちゃんと葉子ちゃんはどうしたって主人公ではない。
そんな話です。

 

ジャンプ掲載時に載った最終ページのアオリ。
「それぞれの物語がぶつかる時…」
これこそがワールドトリガーと言える名文句です。

ワールドトリガーで作者が「主人公」と銘打っているキャラは4人います。が、すべてのキャラクターが主人公と言えるくらいに練られていますし、全員がおのおの目的を持って(登場しない間も)行動しています。語られなくても癖や方針が描写から読み取れたり、再登場時には成長して帰ってきたりする。
だからこそなかなか都合よく動いてはくれません。必死に編み出した必殺技も通用しなかったりするし、次回には対策を取られたりする。もちろん通用することもある。

主人公補正というか、思い通りに世界を捻じ曲げる力を、誰も持っていない。未来が見える力を持った人ですら、世界を一人では変えられない。
だから、つまりは、「主人公」たちも「世界の主人公」ではない。

そこがワールドトリガーの面白さであって、肝だと思うんですよね。三門市という確固たる世界で生きている人々を私たちは覗いている。その覗き見の窓口として選ばれたのが「主人公」。そういう漫画です。
そして、それを一番わかりやすく描いているのが、144話だと思うのです。

 

描かれているエピソードは劇的です。
ですが、きっとそれは、あの世界では特別でもなんでもないことです。

ワールドトリガーの舞台、三門市は過去に異世界の敵からの侵攻を受けて、そこそこの数の死者や行方不明者などが出ました。その大規模侵攻時の出来事を描いたのがこの回です。話にはよく出てくるものの具体的に描かれるのは初めてだったりします。

単行本で見られる家族構成には、両親がいない、どちらかが欠けているキャラクターが割といます。そうした環境の中では、どんなに劇的なエピソードも単なる二人の過去、でしかありません。同じだけのものをみんなが背負っている。特別づらはできません。

みんなが主人公で、一人ひとりの微々たる影響力が、少しづつ世界を、周りを、自分を変えていく。それがワールドトリガーであり、現実でもあります。


そして144話、とにかく一話の密度がすごい。ブリーチだったら3ヶ月はかかってる。ナルトで1ヶ月。最近のワンピースなら力を入れすぎて半年近くやりかねない。
少なくとも、二人の関係を描いてる部分だけで1週は使っているはずです。
二人の友情の説明の仕方がとんでもないんですよね。短い言葉のやりとりしかしてないのに、ああこの二人は通じ合っているんだな、親友なんだな、と感じられる。

ワールドトリガーにはトリオンだのトリガーだのボーダーだのイーグレットだのギムレットだの適当メテオラだの、色々な用語が出てきますが、144話を読むのにそれらの用語は一切要りません。なんかもう、そこだけ読んでもらっても構わない。実際友人に144話を本誌の立ち読みで読んで、気になって全巻揃えたという人もいます。
今ならコンビニでも陳列してるはず。(コンビニにワートリの並ぶ時代!すごい!)


まずはコンビニによって17巻144話「香取葉子」を読んでください。
よろしくお願いします。
本当に。
よろしくお願いします。

 

さらにさらに17巻はワートリにどっぷりな人へのキラーエピソードもある。最強かよ。でもどっぷりな人は言わずともわかると思うので割愛しますね。生駒隊は最高なんだ。

ちなみに今月のきららキャラットの「はやしたてまつり」は日常4コマには珍しく、キラーエピソードたる空気感がありました。ぱらぱらめくっていて思わず手が止まって読んでしまう力がありました。すごいよかった。


ワールドトリガーは現在、残念ながら葦原先生の体調を鑑みて休載をしています。もちろんワートリが毎週読めないのは悲しい。ですが、無理せず先生の体を優先して、先生の思う結末まできちんと描かれることこそが、ワールドトリガーという漫画の最高の形なのだと思っています。
以上、ワートリ民は休載の間に読者増やして待とうぜ!のコーナーでした。

それじゃあ続きはまたいつか。